確かに冷静な立ち合いだった。それに比べて横綱は腰が引けていたように見えたんだが。先場所の殊勲で、稀勢の里に気持ちの変化があった。「慌てないこと。去年の暮れくらいから考えている」。決して動じない。すると周囲が見える。この日もそう。「いつも以上に横綱が仕切り線から後ろだった」。舞い上がらず、白鵬の気負いを感じ取った。
横綱が苦手意識を口にするのはマズーじゃなかろうか。両国国技館に1年ぶりに舞った座布団を、白鵬はうつろな目で見つめた。土俵上にはまた、稀勢の里がいた。押し出された土俵に再び上がると、首をひねった。08年九州場所、09年初場所の日馬富士以来、2年ぶりに同じ相手への連敗を喫した。稀勢の里には対戦成績こそ20勝6敗だが、大関時代の3連敗に次ぐ連敗。苦手意識について「あるんでしょうね。いまひとつ体が動かなかった。負けて相撲を覚えるといいますから」とうつろな目で認めた。
最近は大関陣もシャバイんで、稀勢の里には横綱に勝っていることを自信として昇ってもらいたいね。
相撲甚句特撰集
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