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2018年7月9日月曜日

【致知】昭憲皇太后の御歌

「致知」2017年6月号P68~P69


金剛石

金剛石も みがかずば
珠のひかりは そはざらむ
人もまなびて のちにこそ
まことの徳は あらはるれ
時計のはりの たえまなく
めぐるがごとく 時のまの
日かげをしみて はげみなば
いかなるわざか ならざらむ

水は器

水はうつはに したがひて
そのさまざまに なりぬなり
人はまじはる 友により
よきにあしきに うつるなり
おのれにまさる よき友を
えらびもとめて もろともに
こころの駒に むちうちて
まなびの道に すすめかし



十二徳の御歌

節 制

花の春もみぢの秋のさかづきも ほどほどにこそくままほしけれ
― 春の花見や秋の紅葉狩りで飲むお酒も、ほどほどに飲むのがよいのであって、何事も節度を弁えることが大切です

清 潔

しろたえの衣のちりは払へども うきは心のくもりなりけり
― 着ている服の塵を払って外見を繕うことはできても、内側の心の曇りは簡単に拭うことができません。心をこそ、清々しく保っていたいものです

勤 労

みがかずば玉の光はいでざらむ 人のこころもかくこそあるらし
― 宝石は磨かなければ光を放ちません。それはまさに人の心も同じで、研鑽を積まなければ、優れた徳を持つことができないものなのです

沈 黙

すぎたるは及ばざりけり かりそめの言葉もあだにちらさざらなむ
― 「過ぎたるは及ばざるがごとし」と言います。ふと軽い気持ちで漏らす言葉が人を傷つけることもあります。不用意な言葉はむやみに使わないようにしたいものです

確 志

人ごころかからましかば白玉のまたまは火にもやかれざりけり
― 人の心も、こんなふうに堅固なものであったらよいのに。白い珠玉はたとえ火中に投げ入れられても傷ひとつつかないで、その信条を貫くのです

誠 実

とりどりにつくるかざしの花もあれど匂ふこころのうるはしきかな
― 神事に仕える時、神様に喜んでいただくために頭に美しい花飾りをつけたりもしますが、匂い出る心の清らかさこそが何より美しいもので、神の心に適うものです

温 和

みだるべきをりをばおきて花桜まづゑむほどをならひてしがな
― 桜の花の散り際よりも、蕾が咲きほころびようとする時の、人の心をほぐすような和やかな優しさにこそ、習いたいものです

謙 遜

高山のかげをうつしてゆく水のひききにつくを心ともがな
― 高い山の姿を映していても、水はおのずから低い方へ向かいます。そのように、志は高く持っても、行いは謙虚でありたいものです

順 序

おくふかき道もきはめむものごとの本末をだにたがへざりせば
― どんなに奥深く困難な道でも、ものごとの本末順序をさえきちんとして誤らなければ、いつか極めることができるでしょう

節 倹

呉竹のほどよきふしをたがへずば末葉の露もみだれざらまし
― 贅沢をせず、分に応じた生活を心掛けていれば、子孫も長く繁栄することでしょう

寧 静

いかさまに身はくだくともむらぎもの心はゆたにあるべかりけり
― 身を粉にして働いている時も、心はいつもゆったりと朗らかでありたいものです

公 儀
国民をすくはむ道も近きよりおし及ばさむ遠きさかひに
― 国民を救う道も、まずは近いところから始め、だんだんとそれを押し広げていって、遠い国の境に住む人々にも、およぼしてゆきたいものです








昭憲皇太后―ひろく愛の御手をさしのべられて (まほろばシリーズ)
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