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2008年6月1日日曜日

国内産業発展無視の石油元売

新日石など、石油製品アジアに輸出 海外比率1割突破へ(NIKKEI NET)

 石油元売り大手がアジア向けを中心とする石油製品輸出を一斉に増やす。新日本石油は2008年度に前年度比6割拡大、出光興産や昭和シェル石油も伸ばす計画で、日本の燃料油販売に占める輸出の比率は初めて1割を超す見込み。経済成長を続けるアジアでは軽油や重油の需給が逼迫(ひっぱく)して価格が高騰、日本の石油製品の競争力が増している。日本各社が国内市場縮小に対応して輸出に踏み出すことは、原油高に直面するアジア各国の需給緩和にも寄与しそうだ。

大手需要家には影響は薄いと思うが、国内中小企業はどうしても高い品物を買わなければいけなくなる。

石油元売は、中間三品と呼ばれる軽油、灯油、重油は輸出した方が儲かるので、特約店に卸す際に「この値段で買わなければ他社で買ってもらって結構です」となるわけだ。現在は業転玉(ぎょうてんぎょく)と呼ばれる石油元売が別ルートで流す在庫調整製品、つまり市況より安い品物がない。よって特約店は元売が示した値段で購入し、末端需要家へ販売する。

この末端需要家が中小企業の工場であったり、漁師や農家であるわけだ。自動車関係の工場などは、メーカーからコスト削減を強く言われている。しかし、例えばメッキ工場などは重油を利用したりするわけで、この重油を輸出し国内には高く販売すればメーカーとコストUPの板ばさみで工場の利益は薄くなる。季節を問わずに野菜が手に入るのも重油を炊いてハウス栽培するからだが、重油が3倍以上の値段になっている今、廃業を余儀なくされているところもある。またはうまくコスト転嫁されるとハウス栽培の野菜は価格が高騰する。漁師も同じく、船は軽油や重油で動かすわけで、漁に出ても油の値段が高いため以前のような利益を得ることが出来ない状況になっている。昨日も書いているが大手陸送会社がコストを反映した運賃にするとのこと。トラックは軽油で走らせているわけで、大手陸送はコスト転嫁が出来ても、小さな下請け運送会社は厳しい状況になるだろう。

以上のように石油資源がない我が国は原油は輸入に頼らざるをえない。そして、コストが増せば企業努力にも限界があるのでコスト転嫁しなければならない。言うまでも無く、油は我が国の産業を左右するわけだ。

だから石油製品を輸出する余裕があるならば、少しでも安く国内市場に出すべきじゃないだろうか。国内経済発展が優先だろうに、我が国にない資源を扱っている石油元売が、国内の産業が疲弊していく原因を作って利益を得ようと言うのは守銭奴と呼んでもいいような気になってきた。

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