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2016年3月9日水曜日

【WiLL】事なかれ主義

WiLL2015年2月号P296~P297 日本からJAPAN(漆)が消える! デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長 より


危機に瀕している国産漆

現在、日本には国宝・重要文化財に指定されている建物が四千九百四十四棟存在します。私が代表取締役社長を務める小西美術工藝社(以下、小西美術)は漆塗りの老舗で、主に文化財に指定されている神社仏閣の漆塗り、彩色、錺金具の修繕を請け負っています。

小西美術のような漆、彩色専門の文化財修繕会社は全国に二十社程度ありますが、小西美術はシュア四割を誇り、業界トップです。

漆は塗料、接着剤の役割を果たし、文化財の修繕に欠かすことのできないものですが、いま、この漆が危機に瀕しています。

実は、国産の漆は現在、年間一トンしか生産されていません。価格の安い中国産漆(年間輸入量五十一トン)に市場をほとんど奪われてしまっているのです。このままでは、国産漆は中国産に駆逐されてしまいます。

本来であれば、国が策を講じるべきなのでしょうが、あろうことか文化庁は、日光東照宮、二荒山神社、輪王寺だけは例外として、指定文化財に用いる漆は原則三割国産、七割中国産を混ぜたものを使うよう仕様書で規定しているのです。

つまり、“必ず”中国産漆を使うように定めている。

この規定は明治以降に作られ、中国産の使用を規定した背景は不明です。当時、国産漆枯渇の恐れや、日本産の価格があまりにも高かったという理由があったのでしょうが、この規定により、国産漆は危機に陥っているのです。

この規定がいままで放置され、改善されてこなかったことが不思議でなりません。その背景には、問題意識はあるが行動を起こさない、日本人特有の事なかれ主義がその背景にはあるのではないでしょうか。

いや、「日本人特有」と言うよりも、「日本の公務員特有」が正しいんじゃまいか?




日光東照宮 日光東照宮400年式年大祭記念
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