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2016年8月3日水曜日

【WiLL】文化財の管理修復に予算を割くことで雇用も生まれる

これの続き。

【WiLL】事なかれ主義 | すきま風

WiLL2015年2月号P300~P301 日本からJAPAN(漆)が消える! デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長 より


中国産漆にメリットなし

話を漆の問題に戻すと、私はそこまで中国産漆にこだわるメリットがあるのだろうかと疑問に思い、自分なりに分析してみることにしました。

分析してみてわかったことは、中国産漆が安いのはたしかですが、そもそも塗る際は薄く伸ばすので使用量は少なくて済み、すべて国産に切り替えても修繕費全体ではさほど高くならないということです。総費用は五~十%上がるだけなのです。

漆塗りだけに限りませんが、いちばん高いのは漆を塗る職人の賃金です。

現在の国の重要文化財建造物修理予算は、僅か八十一億五千万円です。これは世界的にみると非常に少ない。全国の文化財の建造物一件あたり三百万円で維持する計算になります。これは文化財の管理、修復にかかわったことのある人間なら到底無理だとわかる金額です。

私の祖国であるイギリスと比較しましょう。イギリスはGDPも人口も日本の半分で、建造物は日本より少ないにもかかわらず、文化財補修費に五百億円を割いています。そう考えれば、日本は単純計算でイギリスの二倍、一千億円の予算をつけてもいいと私は思います。

イギリスは文化財補修費を手厚くしたことで、文化財保護にまつわる多くの仕事が増え、雇用促進にも繋がりました。

文化財には一応、三割国産漆を使わなければいけない規定があるのでまだ良いとも言えます。規定がないお椀やお盆など、伝統工芸品の世界はもっと深刻です。

京漆器の場合だと一〇〇%、中国産漆を使用しています。また、使用している木も国産でないことがある。何一つ、日本のものを使っていないのに、はたして“京”漆器と呼べるのか、私には疑問です。

国産と中国産の品質は一概にはいえませんが、漆は管理が難しい。中国から持ってくると、どうしても国産よりもその点で劣ります。

また、漆には採れる土地によって特徴があります。たとえば、南方のビルマなどの漆は日本に持ってきて使うと、国産に比べて乾きにくい。使うその国で育った漆樹がいちばん適しているというのが、私の見解です。

漆を国産化した場合の金額を試算したところ、一億三千七百万円の追加予算をとれば可能だとわかりました。

漆を国産に替えることで極端に価格が上がるわけでもなく品質も向上し、国産漆の需要にも貢献できます。にもかかわらず、国産漆の使用促進を提案しても役人は動いてくれません。

いくら国産漆使用拡大を訴えても、役所は「昔からの決まりだから」の一点張りで話になりません。以前、「国産にした分の負担をこっちで持つので、国産一〇〇%でやらせてほしい」と役所に申し出たのですが、「仕様書と異なるので」と拒否されました。仕様書の問題は、役人が動かなければ業界内ではどうすることもできない。

中国から賄賂でも貰っているのではないかと疑いたくなるほど、彼らは中国産漆をかばうのです。あるいは、ただ単に物事が変わることに対するアレルギー反応なのかもしれませんが、本当に理解に苦しみます。

漆は英語で「JAPAN」と言います。日本にとって漆はそれほどシンボリックなものであるのに、彼らは日本から「JAPAN」(漆)がなくなってしまうことへの危機感がないのでしょうか。

最近、神社仏閣やお城跡などを散策することがあるんだが、日本は言い伝えなどは大事にするが、建造物がヨーロッパのように大事にされてないことがよくわかる。

このコラムを読んで、日本文化に関わる職人さんが減ったり、日本国産で賄えるはずのものを輸入することによって賄えなくなるのは、非常に残念なことだと。

それを外国から来た人が必死に改善してくれようとしている。日本人自身がもっとこれらに気づいて行動しなくてはならんね。




イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言 (講談社+α新書)
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